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2008.05.15

論点

人間の約束人間の約束
(2001/07/25)
三國連太郎

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昨日の深夜、NHKで放送されていたのを見ました。
昭和61年、今から20年ほど前の映画
杉本哲太や佐藤浩市といった今の中年俳優陣が若造役だった。
それはともかく、3世代で東京郊外に暮らしているある家庭で
ボケてしまってお嫁さんに介護されていたおばあちゃんがある朝亡くなるのですが
夫であるおじいちゃんが「おらが殺した」と警察で自供するところから始まる
「高齢化社会に真っ向から取り組んだ」とどこかに書いてあった、そういう映画
以下、ネタバレ込みで感想をつづりますので
私の余計な解釈なしに作品をこれからご覧になりたい方はご注意ください。



『人間の約束』というタイトルをふっと思い起こさせるセリフは
私が気付いた限りでは2度出てきた。

1、ボケが進行する祖父母に手を焼く両親に向かって
ハタチ前後と思われる孫息子が
「父さんだって母さんだって本当は『早く死ねばいいのに』って思ってるのを
ただ隠しているだけなんだろ」と言い捨てる。
父親は温厚そうなタイプだが、このときばかりは息子を殴って、こう言う。
「人間には、何があっても口にしてはならないことがある。よく覚えておけ」と。

2、映画の終盤になると、実はおばあちゃんに手をかけたのは
実の息子(つまり↑この父親)だったということが明らかになる。
警察のほうでもその可能性を考え始めたころ、刑事たちが会話をするシーン。
「尊属殺人の最高刑は死刑。だがボケ老人の安楽死ということで情状酌量されて
執行猶予がつけばそれで終わりだ。どういうことだかねえ」
「ふん。所詮法律なんて人間が決めた約束でしかないんだよ」

(ちなみに「ボケ老人」という言葉は映画で使われていたそのままを引きました)

よりはっきりと「人間」の「約束」と言っている2は
「ボケ老人」の安楽死とあれば事情が事情だから致し方なかろう、という約束。
一方の1は
「ボケ老人」であろうとも「死ねばいいのに」なんて言ってはいけない、という約束。
この、やるせない矛盾。



これだけの大きなテーマにじゅうぶんずずずんと衝撃を受けつつも
もうひとつ 私には浮き上がって見えてきた物語は、妻の苦悩について。
「あんたは鬼だ!」と叫ばれたりしながらも義母の世話をすることは
それはそれは大変な負担で、事件も色々描かれていたけれど
でも真に彼女を苦しめていたのはそっちじゃなくて、夫の浮気なのだった。

義父母とは、ぼろぼろになってぶつかりあいながらも
女性らしい「たくましさ」と「情愛深さ」をもって気丈にやっているように見えた。
今のところ「容疑者」であるため警察のところで暮らしているおじいちゃんと
久しぶりに対面したシーンで妻の口から自然に発せられた
「おじいちゃん!体は大丈夫ですか?」というセリフが
それを表しているように感じられた。

でもそんな気丈さでもどうしたって打ち勝てないのが、女性問題。
彼女が夫にとって「かけがえのない妻」であり「家族」であり
子供や両親のことを一緒に考えたりしながら生きていく「パートナー」であることは
きっとこれまでもこれからも揺るぎないことなのだと思うけど、
そしてそれは愛人には勝ち目のない愛の形なのだとは思うのだけど、
それでも彼女は確実に苦しんでいるのである。当然である。
(この映画の愛人に共感したり私自身を重ねてしまったりすることはなかったけど)
苦しめている というこの手の罪悪感をちらっとでも抱いたのは久しぶりだった。



ここからは映画を離れて私生活について考える。
奥さんに対する罪悪感 にドキッとしはしたものの
それは「そちら」の問題であって私が心配するのもおこがましい
と考えることにも一理ある、とやっぱり思っている。
「結婚を前提につきあってください」ではなくて
「恋人としてつきいましょうよ」という女に対して
「そうしましょうよ」と男は言っているわけなのだから
奥さんがいてもなお「そうしましょうよ」と決めた男本人が
そっちのことはどうにかしているべき問題のはずだ。
だから罪悪感なんておこがましいしお門違いのように思うし
こちらなんて及ばないくらいにラブラブなご夫婦なのかもしれないし
そうじゃなくて映画みたいに苦しめていたとしても
それでも女を捨てることなく関係を続けているとしたらその程度の男だということだし
その程度の男だとしたらちょっと嫌だけど
今のところ自宅に張り込んで覗き見する覚悟があるわけでもないのだから、
そんなことに思いをめぐらしても 時間の無駄だ。

というのが、時間をかけて長文を書いてしまったうえでの結論。





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